荒平天神と通称される菅原神社は、海に突き出た島のような岩山上(天神島)に鎮座し、天文年間(1532-1555)の創建と伝えられています。大正12年(1923)に炎上しましたが、木造の御神体は無事で今に受け継がれています。地元住民からの崇敬篤く、菅原道真の月命日である毎月25日は縁日として多くの参拝者が訪れます。
神社とその風景は「鹿屋八景」にも選ばれている風光明媚な景勝地で、南は大隅半島南端から北は鹿児島市まで眺望でき、開聞岳と桜島が見渡せます。また、大潮の満潮時には海に浮かぶ島となり、さらに幻想的な光景を見せます。
主祭神の菅原道真(845-903)は、文章博士として詩歌、書道に秀で、遣唐使の廃止を進言したことでも知られています。天皇からの信任も厚かったものの、藤原氏との政争に敗れ、太宰府に左遷され、失意のうちに亡くなります。彼の死後、京の都では様々な天変地異があり、菅原道真の神霊による祟りだとして、北野天満宮に祀り、天変地異は治まったとされています。
詩歌に秀でた菅原道真は、梅を殊に好んだことでも知られ「東風吹かば にほひおこせよ 梅の花 主なしとて 春を忘るな」の和歌は広く知られています。岩山上(天神島)への砂州には、菅原道真が愛した梅の花びらに似た貝殻が白く光る波打ち際に流れ着くことでも知られ、学問の神として進学・就職の合格祈願に各地から多くの人が訪れます。